たむらペインクリニック

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麻酔・ペインクリニック科とは


ペインクリニックって? ペイン:pain→痛み クリニック:clinic→診療所という意味です。麻酔・ペインクリニックは「痛み」を中心に病を診ていく「診療科」です。 また、痛み以外の病気でペインクリニック治療が有効な顔面神経麻痺などの治療も行っています。 痛みのために死ぬような事はありませんが、自分の痛みは誰も解ってくれません。人と比較する事も共有する事も出来ません。このように、痛みのために寂しい思いをしないようにこれを専門に診断治療する分野を麻酔・ペインクリニック科と言います。そのなかで、代表的な病気「帯状疱疹神経痛」治療、および関連する「ブロック療法」を紹介します。

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帯状疱疹神経痛


帯状疱疹とは

だれでも子供の頃に水ぼうそうにかかったことがあると思います。水痘ヘルペスウイルスに感染する事によりかかります。2週間ぐらいで治ってしまいます。おたふくかぜやはしかと同様に一回罹ると免疫が出来て、もうかからないと言う事は、ご存知と思います。しかし、水ぼうそうのウイルスは、水ぼうそうが完全に治ってからも体の神経の中に潜んで しまい、ずーっと成りを潜めています。段々と、年をとったり、病気になったり、季節の変わり目で体が疲れたりして抵抗力が落ちてきた時などに、ここぞとばかりに潜んでいる神経を伝わって皮膚にいっせいに出てきます。何の原因もないのに、いきなり背中や顔、足が夜も眠れないくらい痛くなり、1~3日ほど経つと今度は、その痛い場所に合わせて、独特な小さな水みずぶく膨れが帯状に、また決まったように体どちらか一方に出てきます。(写真1、2)

写真1
写真2

●かかりやすい年齢
60歳を中心にだいたい45歳から上の年齢でよく見られます。しかし、過労、病気などで体が弱っていると若い方でもなる事があります。

●どこに出来るか
胸や背中が最も多く、顔、頭部も出来やすい場所です。

●発症したときの治療
まず、第一にウイルスの増殖を抑える薬:抗ヘルペスウイルス薬を内服します。5日から1週間程度飲んでもらいます。痛みも、皮疹も 段々に治って行きます。又、痛みが強い場合、痛み止めの薬もいっしょに内服します。あまりにもひどい時は、入院して点滴で投薬します。
痛みがひどい場合、神経ブロック治療を行う場合もあります。次に説明します帯状疱疹後神経痛にならないためにも、出来るだけ早くきちんと治療する事が大事です。

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹は、2~3週間ぐらいで皮膚の腫れや痛みも引いて治ってしまうのですが、なかには痛みだけがなかなか良くならないで激痛が尾を引く事があります。それを、帯状疱疹後神経痛と言います。みんながみんななるわけではないのですが、とっても痛くて大変です。これには、なりやすい人がいます。まずは、年齢が65歳以上、たいへんひどい帯 状疱疹の皮疹が出来てしまった場合です。また、帯状疱疹になった時、夜も眠れないくらいの痛さが続いたり、抗ヘルペスウイルス薬を飲んでも痛みが軽くならない場合、帯状疱疹後神経痛になってしまう事が多いようです。この痛みは厄介なもので、一日中休むまもなく続き、ひどい場合は、年単位で続く事もあります。治療は、内服薬、神経ブロック治療などを組み合わせて行います。内服薬も、鎮痛薬ばかりでなく、うつ病の薬やけいれんの薬をうまく組み合わせて使います。いずれにしても、早く治療する事が大事ですので、我慢していないで、かかりつけ医に相談してみてください。かかってしまった時の日常生活は、体をゆっくり休め、睡眠と栄養を十分にとる事が大事です。また、痛みに寒さがこたえますので、患部や体を暖かくする事が大事です。
最後に良く聞かれる事ですが、帯状疱疹のウイルスが移って他の人が帯状疱疹になる事はありません。しかし、帯状疱疹のウイルスは、水ぼうそうのウイルスと同じですから、水ぼうそうにかかった事のない子供に移って水ぼうそうになる事はあります。ただし、移る次期は限られていて、帯状疱疹が水膨れの時だけです。かさぶたになってしまえば移りません。また、通常、帯状疱疹は2回はかかりません。極稀に2回、3回と罹る人はいますが、普通は1回と思っていただいて結構です。

ブロック療法とは

痛みの代表的な治療法は薬物治療神経ブロックです。通常、薬物治療で痛みの改善が不充分な場合、神経ブロック治療が行われます。痛みの伝達に関係している神経は知覚神経交感神経運動神経の三つがあります。知覚神経は興奮することで、痛みの情報を脳に伝達し、交感神経と運動神経は興奮すると血管や筋肉の収縮で血流が低下し、痛みを助長します。これらの神経の働きを抑え、脳に痛みの情報伝達を抑制するため、局所麻酔を注射するのが神経ブロックです。痛みの原因や痛みの程度に応じ、知覚神経だけブロックしたり、他の神経をもブロックするなどの方法があります。
帯状疱疹治療例で説明します。(手順として薬物治療から。)

1.薬物治療
帯状疱疹を患った初期(急性期)では、炎症の抑制に抗ウイルス剤を使います。痛みの抑制は消炎鎮痛薬を使います。
2.神経ブロック
薬物治療だけで痛みの抑制が不充分な場合に行います。帯状疱疹に行われる神経ブロックは以下の通りです。
2-1.三叉神経ブロック
顔の痛みは顔の感覚を支配している三叉神経(第1枝~第3枝)に、痛みの範囲により、どの枝に注射するか判断します。その中で痛みの強い部位を支配している枝に対して行います。
2-2.星状神経節ブロック
顔に痛みがある場合の治療法で、首の付け根付近・左右両側に星状神経節があり、血流を司る交感神経が集まっています。顔面の血流を改善し痛みを抑制するため、ここに局所麻酔薬を注射します。
2-3.硬膜外ブロック
首から下に痛みがある場合、脊髄を包んでいる膜の外側の隙間(硬膜外腔という)に局所麻酔を注射し、神経伝達を遮断し、痛みを抑制します。
硬膜外ブロックは、カテーテル挿入による持続的に行う方法もあります。

神経ブロックの効果

神経ブロックは一時的に痛みが治まり、局所麻酔が切れると再び痛みがでますので、神経ブロックを何度か繰り返し行い、痛みが軽減するようであれば、更に繰り返し行います。血流の改善に伴い、痛みの物質が消失し、患部の炎症が治まると共に痛みが軽減します。痛みの程度、神経ブロックの種類・治療回数によって効果が異なります。

神経ブロック受診上の注意点

血液・抗凝固薬(バイアスピリンなど)を服用中の患者は受けられないことがあります。注射針を刺すので、出血の恐れがあります。特に星状神経節ブロック、硬膜外ブロックは基本的に受けられません。
局所麻酔の副作用によるしびれ麻痺など一時的に起こることがあり、治療後30~60分ほど安静を保つ必要があります。効果や副作用など十分説明を受け、受診してください。

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